基本情報
学位
- 博士(比較社会文化) (九州大学)
研究キーワード
- 禁酒運動
- 進化論
- 優生学
- 医療
- 衛生
- 身体
- 植民地
- 産業衛生
- 出生前診断
- セクシュアリティ
- 生殖
- ジェンダー
- 科学ジャーナリズム
- 思想史
- 医学史
所属学会
- 日本歴史学会
- 日本科学史学会
- 九州史学研究会
- 社会事業史学会
- 日本科学史学会生物学史分科会
- メディア史研究会
- 社会思想史学会
- 日本生命倫理学会
研究活動
学術論文(★は代表的な論文)
- 戦間期日本の教化動員と禁酒運動―酒なし日の登場と変奏, メディア史研究, 54号, pp. 112-136, 202309
- 昭和戦前期における『禁酒新聞』の頒布の実態, メディア史研究, 53号, pp. 91-124, 202302
- 出生前診断の歴史と現在―自発的優生学の系譜, 日本健康学会誌, 87巻, 4号, pp. 139-160, 202107
- 優生学史における日本民族衛生学会の位置, 日本健康学会誌, 86巻, 5号, pp. 197-208, 202010
- 福岡県の禁酒運動と宗像―福岡県禁酒聯盟結成まで, 宗像市史研究, 3号, pp. 1-25, 202003
- 日本国民禁酒同盟と農村対策―御大典禁酒村から時局匡救、東北救済へ, 社会事業史研究, 54号, pp. 141-158, 201809
- On Eugenic Policy and the Movement of the National Temperance League in Prewar Japan, HISTORIA SCIENTIARUM, 28巻, 3号, pp. 353-376, 201803
- 山本作兵衛と日鉄二瀬禁酒聯盟, エネルギー史研究, 33号, pp. 91-112, 201803
- 九州帝大医学部における民族衛生学・植民衛生学講座―戦前・戦後の水島治夫の学問から, 九州史学, 167号, pp. 58-90, 201403
- 1930-40年代における『民族衛生』誌の成立と変容―科学啓蒙と学術特化のあいだ, 七隈史学, 15号, pp. 129-145, 201303
- 日露戦後における優生学と日本人優劣論―海野幸徳の場合(下), 生物学史研究, 87号, pp. 1-14, 201209
- 新優生学のメディアキャンペーン―おぎゃー献金の登場と展開, メディア史研究, 32号, pp. 106-128, 201209
- 戦間期日本の優生学論者と産児調節―論争の発生から国民優生法まで, 九州史学, 161号, pp. 29-55, 201207
- 優生学運動と日本社会―科学啓蒙と雑誌メディア、そして生殖の政治, 九州大学審査学位論文/〈主査〉吉岡斉先生〈副査〉吉田昌彦先生、山口輝臣先生、有馬学先生、米本昌平先生, pp. 1-234, 201203
- 優生学と社会事業―第一次大戦後の海野幸徳の転身を中心に, 社会事業史研究, 41号, pp. 23-40, 201203
- 日露戦後における優生学と日本人優劣論―海野幸徳の場合(上), 生物学史研究, 86号, pp. 27-41, 201202
- 昭和戦前期における優生学メディアの性格―雑誌『優生学』を対象に, 生物学史研究, 85号, pp. 1-20, 201106
- 国民優生法成立の再検討―法案論議と科学啓蒙のあいだ, 社会思想史研究, 34号, pp. 161-179, 201009
- 明治後期―大正期における科学ジャーナリズムの生成―雑誌『科学世界』の基礎的研究を通して, メディア史研究, 26号, pp. 81-106, 200910
- 『文化生活』の優生学-大正期の科学啓蒙と雑誌メディア, 日本歴史, 730号, pp. 75-95, 200903
著書等出版物
- 2023年05月, 吉岡斉を語る/吉岡斉が語る, 吉岡斉を語る/吉岡斉が語る, 花書院, jpn, 中山正敏; 綾部広則, 4867730009, 336, 193-196
- 2022年10月, 思想史講義【明治篇Ⅰ】 (ちくま新書 1671), 思想史講義【明治篇Ⅰ】 (ちくま新書 1671), 筑摩書房, jpn, 山口輝臣; 福家崇洋編, 9784480075147, 336, 231-247
- 2022年08月, 論点・日本史学, 論点・日本史学, ミネルヴァ書房, jpn, 岩城卓二、上島享、河西秀哉、塩出浩之、 谷川穣、告井幸男編著, 9784623093496, 388, 284-285
- 2022年03月, 新修宗像市史 いくさと人びと, 新修宗像市史 いくさと人びと, 宗像市, jpn, 新修宗像市史編集委員会, 782, 455-646
- 2021年05月, 科学史事典 = Encyclopedia of the history of science, 科学史事典 = Encyclopedia of the history of science, 丸善出版, jpn, 日本科学史学会, 9784621306062, xxii, 726p, 図版 [4] p, 284-285
- 2019年04月, 일본이 우생사회가 될 때까지 과학계몽, 미디어, 생식의 정치, http://www.hanulmplus.kr/tot_book/content.asp?pBID=4892, 일본이 우생사회가 될 때까지 과학계몽, 미디어, 생식의 정치, Hanul M Plus Inc., 著者; 横山尊; 翻訳; 申榮全; 安尚賢, 9788946071551, 490
- 2016年11月, 木佐木日記(下) - 名物編集長・滝田樗陰と関東大震災, 木佐木日記(下) - 名物編集長・滝田樗陰と関東大震災, 中央公論新社, 分担執筆, jpn, 木佐木勝, 4120049043, 4120049043, 486
- 2015年12月, 日本が優生社会になるまで : 科学啓蒙、メディア、生殖の政治, 日本が優生社会になるまで : 科学啓蒙、メディア、生殖の政治, 勁草書房, jpn, 横山, 尊, 9784326602841, x, 389, 23p
- 2012年02月, 日記に読む近代日本 3: 大正, 日記に読む近代日本 3: 大正, 吉川弘文館, jpn, 山口輝臣編; 山口 輝臣, 4642064265, 4642064265, 263, 88-103
招待講演、口頭・ポスター発表等
- 日本母性保護医協会と優生保護法下の優生手術, 横山尊, 第36回 日本生命倫理学会年次大会, 2024年11月17日, 日本生命倫理学会, 立命館大学
- 第一次大戦後の日本における「社会連帯主義」の禁酒論:田子一民と未成年者飲酒禁止法, 横山尊, 第48回社会思想史学会大会, 2023年10月29日, 社会思想史学会, 南山大学, 本報告は、内務省社会局長などを務めた田子一民が、第一次大戦の総力戦研究の一環で全米禁酒法を成立させた米国を中心に禁酒研究を始めたことを示した。さらに、「社会連帯主義」の観点から禁酒を説き、近代家族における女性、児童の保護と結びつけたことを明らかにした。その観点から、田子は、根本正が提出し続けた未成年者飲酒禁止法案に介入し、青少年保護を法の精神とした規範法へ性格転換させたことを論じた。
- 北部九州における出生前診断の始動と展開―故斎藤仲道先生のオーラルヒストリーの恩恵と課題, 横山尊, 第42回 日本医史学会福岡地方会, 2023年08月26日, 日本医史学会福岡地方会, 九州大学医学歴史館, 2020年10、11月に実施した斎藤仲道先生へのオーラルヒストリーの内容から、1970年前後から九州大学医学部とのその周辺で行われた出生前診断の研究とそれが惹起した議論の性格を解明することを試みた。その上で、このオーラルヒストリーの内容を今後に残すこと、さらに歴史研究の対象となりゆく出生前診断を研究する上で考慮すべき課題を示した。
- 昭和戦前期における少年向け禁酒メディアの戦略―『のぞみの友』を中心に, 横山尊, メディア史研究会第333回月例研究会, 2023年04月22日, メディア史研究会, オンライン, 本報告は、昭和戦前期に刊行された、日本国民禁酒同盟少年部の会誌『のぞみの友』(月刊)を通して、禁酒運動がかかるメディアを必要とした理由、その運動の性格を考察した。特に1930年代初頭に同盟が「大衆」のライフステージに対応する運動とメディアを用意した動向に位置づけられること、同誌が次世代運動家養成のため、多様な運動を展開し飲酒情報から遠ざける誌面づくりを行った点を強調した。
- 昭和戦前期における禁酒メディアの性格―『禁酒新聞』を中心に, 横山尊, メディア史研究会第324回月例研究会, 2022年06月25日, メディア史研究会, オンライン, 本報告は、日本国民禁酒同盟が刊行した昭和戦前期の月刊『禁酒新聞』(1924.2?-至現在)を主な対象として、禁酒メディアが禁酒運動に果たした役割、影響、その特質を考察した。本報告は、完成させた戦前の目次も活用し、『禁酒新聞』の成立をめぐる問題点や同紙の性格を前進団体の媒体も踏まえて考察し、青年団を対象とした普及運動をはじめ同紙が禁酒運動に果たした役割を考察した。
- 禁酒運動と新生活運動―敗戦後日本の動向とその系譜, 横山尊, 日本科学史学会第69回年会, 2022年05月27日, 日本科学史学会, オンライン, 本報告は、敗戦後の日本における禁酒運動と新生活運動との関係を考察した。戦前から生活改善運動の性格が強い禁酒運動は、敗戦後の新生活運動に関心を示したものの、日本禁酒同盟は退潮傾向にあった。むしろ、新生活運動の名の下では、企業や国家の酒害の取り組みが顕著だった。本報告はそこから、禁酒運動の主張が社会そのものに移行し、現代のアルコールをめぐる規範を形成する契機を見いだした。
- 【シンポジウム】「日本医学の近代化、その展開と国際性 ―公衆衛生・国際協力・医学教育―」(コメンテーター), 横山尊(コメンテーター, 2021年度九州史学研究会大会, 2021年10月16日, 九州史学研究会, 九州大学(オンライン), コメンテーターとして参加。今日のコロナウィルスと感染症をめぐる言論、歴史研究の現状を論評した。その上で、研究報告、藤本健太郎「明治期長崎における衛生行政の展開」、ヨリンデ・ウェルス「1918-1920年「流行性感冒」の経験と日本の国際医療貢献」へのコメントを行った。
- 日本の優生学史研究のこれからを考えるために―相模原事件と優生保護法報道への所見, 横山尊, 日本科学史学会 第34期科学史学校, 2021年08月28日, 日本科学史学会, オンライン, 2016年の相模原事件、2020年の優生保護法をめぐる報道や言論について、1980年代の研究史を踏まえた見地から、その成果にそぐわない内容を批判した。その上で、今後の優生学史研究のあり方について、謝罪・補償などの問題も含めて展望を述べた。
- 特別講演 出生前診断の歴史と現在―自発的優生学の系譜, 横山尊, 第85回日本健康学会総会, 2020年12月05日, 日本健康学会, 津田塾大学(オンライン), 第84回日本健康学会総会特別講演の続編として、同会の依頼を受けて行った。本講演は出生前診断と優生学の関係性を、優生学の自発性をキー概念として問い直した。第一に遺伝カウンセリングと出生前診断の源流を、優生学的な婚姻忌避、優生結婚、避妊、中絶に求めた。第二に1970年代以降の出生前診断と優生学をめぐる批判のステレオタイプを、斎藤仲道氏のオーラルヒストリーと福岡県の事例も踏まえ、相対化を図った。
- 帝国日本の優生学?ー研究レビューによる「優生学的植民地主義」論の再検討, 横山尊, 「東アジア近代医史学」研究フォーラム, 2020年02月23日, 「東アジア近代医史学」研究フォーラム、九州大学韓国研究センター、大学文書館、医学歴史館、延世大学校医史学研究所, 九州大学医学歴史館, 「帝国日本の優生学」をどのように語ることができるか?そもそも、黄色人種国家の日本は優生学をもって植民地支配ができたのか?この問いの考察の材料を、特にJ=ロバートソン「優生学的植民地主義―日本における血のイデオロギー」(『思想』995号、2007年)を批判し、かつ明治期から敗戦後までを扱った過去の研究のレビューを行うことで見出すことを試みた。それを通して「東アジア近代医史学研究の課題」の話題提供を行った。
- 福岡県の禁酒運動と医学者, 横山尊, 第36回 日本医史学会福岡地方会, 2020年02月15日, 日本医史学会福岡地方会, アルコール中毒の専門病棟設置は1960年代だったものの、明治期から一部の医学者たちは禁酒運動に参加しつつその害毒に注目し続けていた。本報告は日本禁酒同盟資料館旧蔵資料に基づき、福岡県の動向を紹介した。特に、明治中期に榊保三郎が禁酒論説を発表するなど早い段階で医学者が禁酒啓蒙に乗り出したこと、県内での地域内の禁酒運動の活性化に医学者は寄与したこと、榊に加え、武谷廣、大平得三など九州帝大医学部関係者の役割が顕著だったことを強調した。
- 深川正夫の労務管理思想とその実践―三井三池労務管理から大日本産業報国会参画へ, 横山尊, 大原社会問題研究所月例研究会, 2019年12月11日, 法政大学多摩キャンパス, 本報告は、三井鉱業所、本店で労務管理を担当し、大日本産業報国会錬成局長、戦後は労働組合法の立案にも参画した深川正夫(1888-1952?) の労務者教育の思想と生活への介入を通して、三池・三井の労務管理、産業報国会、労働組合法の連続性理解の精緻化を図った。特に、深川にとって産業報国会は三池の共愛組合の全国化で、労資の闘争をなくし労働者の福利を図る目的を有した点、深川の労務者教育は、禁酒運動とも結びつき、労働の能率増進(合理化)と日本主義の融合によって労働者動員を図ったことを強調した。
- 特別講演 優生学史における日本民族衛生学会の位置, 横山尊, 第84回 日本健康学会総会, 2019年11月01日, 日本健康学会, 長崎大学医学部
- 旧優生保護法に関する報道と史実理解の問題点, 横山尊, 第93回経済史研究会, 2018年10月27日, 大阪経済大学 日本経済史研究所, 大阪経済大学, 本報告は、第一に、旧優生保護法に関する報道の成果と問題点について述べた。特に報道の強制史観的内容に走りやすい傾向、過剰なパターン化、ルーティン化の傾向、公文書「発見」報道の問題点を指摘した。第二に、同報道における日本母性保護医協会の不在を指摘し、その実態を論じた。第三に、「発見」された公文書情報公開の問題点と活用の可能性を論じた。上記を踏まえ、同報道や論壇における第三者的観点の不在を指摘し、本来的な意味での同法の実態・真相究明の可能性を展望した。
- 日本母性保護医協会から見た優生保護法と不妊手術, 横山尊, 第 35 回 西日本生命倫理研究会, 2018年09月22日, 西日本生命倫理研究会, 九州大学
- 優生保護法下の不妊手術と日本母性保護医協会, 横山尊, 生物学史分科会「夏の学校」, 2018年08月31日, 日本科学史学会生物学史分科会, 西南学院大学
- アルコール医学と地域産業社会―九州帝大医学部教授、大平得三の禁酒運動から, 横山尊, 日本科学史学会 第65回年会, 2018年05月26日, 日本科学史学会, 東京理科大学, 九州帝大医学部教授の大平得三の禁酒啓蒙と研究を論じた。特に福岡の炭鉱地帯に代表される地域産業社会と医学者の啓蒙活動の関わり方、そして労働医学、産業衛生、社会衛生と関連しながらも、それらに回収されないアルコール医学の性格の特殊性について考察した。(2014年10月の報告内容を大幅に修正、整理したもの。)
- 禁酒運動と農村対策―1930年代後半の東北地方への運動と背景, 横山尊, 社会事業史学会第46回大会, 2018年05月12日
- 公開シンポジウム 優生保護法下で何が行われたのか, 横山尊(コメンテーターとして, 西南学院大学/生命倫理研究会, 2018年03月26日, 西南学院大学, シンポジスト:利光惠子「戦後日本における障碍者への強制的な不妊手術をめぐって」、久保井摂「優生保護裁判と国家賠償への展望」、中馬充子「優生思想を支えた戦後の保健科教育」、コメンテーター:波多江忠彦、横山尊、司会:北垣徹
- 福岡県の炭鉱禁酒会―三井田川禁酒会を中心に, 横山尊, 福博企業家史研究会, 2017年10月07日, 九州産業大学, 1920年代から終戦期における福岡県の炭鉱禁酒会を論じた。1923年に発足し日本で最大規模の会員数を誇った三井田川禁酒会を中心に、三井三池、住友忠隈、日鉄二瀬などと併せ福岡県の炭鉱禁酒会の全体的な動向を示し、設立の経緯、具体的な活動内容を明らかにした。加えて、炭鉱禁酒会が鉱業所と一定の距離を保ちながら、企業の労務管理政策への貢献を主張し、勢力を伸長しながら、安全運動や戦時における労務動員政策に接近したことを示した。
- 拙著『日本が優生社会になるまで』が生命倫理の学際的研究に成しうること―相模原障害者殺傷事件から1年を踏まえて, 横山尊, 学術研究所分科会「生命倫理の学際的研究」第1回生命倫理講演会, 2017年07月29日, 西南学院大学学術研究所, 西南学院大学, 拙著『日本が優生社会になるまで』(勁草書房、2015年)書評会に寄せたもの。林真理氏の書評(『科学史研究』281号)に応答しつつ、拙著の学術的・学問的立ち位置を再確認した。その議論を踏まえ、出生前診断、NIPTをめぐる議論の膠着状態と原因を考察した。さらに、本年で一年になる相模原障害者殺傷事件の、優生学史研究の蓄積を踏まえない昨今の言論状況に疑問を呈しつつその現代的性格を論じ、今後の生命倫理の学際的研究に資する討論の材料の提供を図った。
- 横山尊著『日本が優生社会になるまで 科学啓蒙、メディア、生殖の政治』(勁草書房、2015年)合評会, 横山尊, 生物学史研究会, 2016年07月30日, 日本科学史学会生物学史分科会, 評者・松原洋子(立命館大学)、嶽本新奈(立教大学)、小野直子(富山大学)、鈴木善次(大阪教育大名誉教授) 横山尊『日本が優生社会になるまで——科学啓蒙、メディア、生殖の政治』勁草書房、2015年。 http://www.keisoshobo.co.jp/book/b210759.html 東京大学駒場キャンパス アドバンスト・リサーチ・ラボラトリー410室にて開催
- 禁酒運動からみた優生学運動―昭和戦前期の日本国民禁酒同盟の動向から, 横山尊, 社会事業史学会 第43回大会, 2015年05月09日, 社会事業史学会, 愛知県立大学
- 昭和戦前期における福岡県内の禁酒会と大平得三―社会衛生学と地域産業社会, 横山尊, 九州史学研究会大会, 2014年10月19日, 福岡県内の禁酒会と九州帝国大学医学部衛生学教室教授、大平得三の活動との関わりを扱った。『禁酒新聞』『禁酒之日本』など日本国民禁酒同盟資料館所蔵資料に依拠し、三井田川禁酒会など福岡県の禁酒会と大平得三のアルコール中毒研究や講演の関係性を探った。結果として日本国民禁酒同盟の影響を受けた禁酒会が1920‐30年代の坑夫従業員化の過程に適合しつつ勢力を拡張し、大平の社会衛生学は運動に「学理」を提供し独自の展開を見せたこと、その動向は戦時の出炭報国、体力管理の気運下で結合し昂揚したことを示した。
- 日本の優生学史研究は何をしてきたか?―新型出生前診断の登場を受けて, 横山尊, 生物学史研究会・生物学基礎論研究会・夏の学校, 2013年09月08日
- 九州帝大医学部における民族衛生学・植民衛生学講座―戦前・戦後の水島治夫の学問から, 横山尊, 近代日本研究フォーラム【学術研究の戦前・戦中・戦後―大学史の新地平】, 2013年03月09日, 共催:広島大学文書館・九州大学文書館・九州大学文学部歴史編纂室・広島近世近代史研究会・九州史学研究会, 九州大学
- 1970-80年代における優生保護法改正論議の再検討―日本母性保護医協会の動向から, 横山尊, 社会思想史学会 第37回大会, 2012年10月28日, 社会思想史学会, 一橋大学, 1970-80年代の優生保護法改正論争を、優保法指定医の団体、日本母性保護医協会(日母)を対象に分析した。優保法改正批判が展開された中、日母は、同時期の優保法の「不良な子孫」の出生防止という理念の批判も潜り抜け、その理念に基づいた出生前診断の開発を現在まで続けてきたことを示した。さらに、本報告は、優保法改正を提議した生長の家や自民党を女性や障害者に対する国家悪と一からげにして胎児条項や優生思想の歴史の責任まで負わせ、日母という見るべき存在をみなかった、優保法改正反対運動のあり方にも疑問を呈した。
- 1930-40年代における『民族衛生』誌の登場と変容―科学啓蒙と学術特化のあいだ, 横山尊, 七隈史学会第14回大会, 2012年09月, 七隈史学会, 福岡大学
- 新優生学のメディアキャンペーン―おぎゃー献金の登場と展開, 横山尊, メディア史研究会月例会, 2011年10月
- 優生保護法成立と展開の側面史-谷口弥三郎の戦中と戦後, 横山尊, 科学言説プロジェクト研究会, 2011年02月, 工学院大学, 優生保護法制定の中心人物だった谷口弥三郎の思想と行動を、人脈や政治基盤も含めて戦前の熊本県医師会長時代から論じた。谷口は戦前と戦後では人口増強から人口膨張の阻止に主張を転じたが、衛生行政システムの一元化と人的資源の「質」の向上の構想は優生保護法と日本母性保護医協会に結実した。そして谷口の階級的逆淘汰論は優保法の避妊と中絶のあり方に影響し、戦前の優生思想は同法に結実したと論じた。
- 昭和戦前期における優生学メディアの性格―雑誌『優生学』を対象に, 横山尊, STS Network Japan研究会, 2010年09月
- 1930-40年代の日本における優生学と産児調節の「禁圧」, 横山尊, 生物学史研究会, 2010年06月
- 明治後期―大正期における科学ジャーナリズムの生成―雑誌『科学世界』の基礎的研究を通して, 横山尊, メディア史研究会月例会, 2008年12月
- 国民優生法成立の再検討, 横山尊, 広島史学研究会大会, 2008年10月
- 『文化生活』の優生学-大正期の科学啓蒙と雑誌メディア, 横山尊, 九州史学会日本史部会, 2007年12月
- 優生学と社会事業-第一次大戦前後の海野幸徳の転身を中心に, 横山尊, 社会思想史学会大会, 2007年10月
- 日露戦後における日本人優劣論と優生学, 横山尊, 九州史学会日本史部会, 2004年12月
- 一九二〇年代の産児調節論と優生学, 横山尊, 九州史学研究会大会, 2003年10月
受賞
- 2018年05月, 第12回日本科学史学会賞 学術奨励賞, 日本科学史学会
- 2015年05月, 第6回 吉田久一研究奨励賞, 社会事業史学会
外部資金
競争的資金等の採択状況
- 科学研究費助成事業, 戦後日本における禁酒運動と断酒会運動の連続性と非連続性の解明, 2025年04月, 2028年03月
- 若手研究, 近代日本の禁酒運動と教育・メディア―日本禁酒同盟資料館旧蔵史料を対象に, 2019年04月, 2023年03月
- 特別研究員 研究奨励費, 禁酒運動と近現代日本の地域・職域社会―日本禁酒同盟資料館史料を通して, 2016年04月, 2019年03月
- 第6回 吉田久一研究奨励賞 研究助成, 近代日本における禁酒運動の展開の解明と社会事業史への位置づけ―日本国民禁酒同盟を中心に, 2015年05月, 2018年05月
- 平成27年度科学研究費助成事業(研究成果公開促進費), 『日本が優生社会になるまで―科学啓蒙・雑誌メディア・生殖の政治』, 2015年07月, 2016年03月